ネコの可愛ぽんた物語 原稿(1)

僕、ぽんた。たぬきじゃなくて、かわいい猫である。
どうして可愛いって自分で言うかって言うと、
ママが僕のことをいつも可愛いぽんた、可愛いぽんた、
可愛いね、可愛いねって言うから。だから、僕は可愛いって思っている。
だけど可愛いって意味はよく分からない。

人間のお家に生まれた、お母さん猫は実は野良猫。
この家に入ってきて赤ちゃんを産んで、そして、何故だかみんな連れていっちゃったけど、
僕だけ取り残された。たぶん僕が人間好きで、
「可愛いね、可愛い赤ちゃんだね」っていう声に反応して、
すぐ人のところに、今のママであるけれど、駆け寄ってしまったからだと思う。
僕は猫のお母さんに捨てられた。

猫は、今はとってもブームなんだって、ブームって何?って聞いたら、
そしたらそれが一時的に、みんなに使われたり、好まれたり、愛されたりすることだって。
一時的?どういうことだろう?
今は、とにかく、特別に猫たちが可愛がられる時なんだって。

僕のママは、ずっと昔から猫や犬やカエルやヘビや蜘蛛、
びっくりするけどゴキブリも可愛がっているみたい。
どうしてそんなもの可愛がるんだよーと思うようなものも、
「いい子だね、一緒に生きようね」って言っている。
ママ、何で?

ママは、いつも草を抜く時にも、
「良い土になってね、うちに生えてきてくれてありがとう」と言う。
うちの中に蜘蛛を見つけると、
「ハエとかを取ってくれてありがとう」って言う。
そしてハエたちにも、
「汚いものを吸ってくれてありがとう」と言う。
ゴキブリには、僕もありがとうって言わなくっちゃ。
実は僕ぽんたは、外にも遊びに行けるんだ。
ママがいつもお庭にも出ていいよ、自由にお家に入っておいで、って言ってくれるから、
外に行って、そして、ノミをつけてくるんだ。
ママは一生懸命くしを入れて、ノミを取ってくれるけど、取りきれるものではない。
ノミの寿命はだいたい1週間〜3週間、そんなに長くないのである。
でも、大変なのは、僕たちにつくと、すぐに血を吸いだして、
そして、なんと24時間〜48時間以内に卵をいっぱい産み始めるんだ。
1日20個、一生で約400個、1匹のあんなに小さなノミが体の割に大きい卵を!
ほんとすごい量、そして、すごい生命力!
生命力というのは生きる力のこと。
沢山血を吸って、沢山子どもを産む。ブ〜ンの蚊もそうだよね。
卵→ボウフラ→蚊、蚊がいっぱい増える。
その蚊をカエルや他の虫、鳥などが食べる。カエルがいなくなってしまった、
蜘蛛がいなくなってしまった、
天敵という、そのものの命を奪うちょっと怖い敵を天敵と言うらしいのだけれど、
その天敵がいなくなると、そうするといっぱい増える。
人も知らないうちに、天敵がいなくなっていっぱい増え始めたところで、今、
新型コロナウイルスと言って新しいウイルスが蔓延してたくさんの人が死んでるという。

まぁそれはさておき、ノミたちの天敵はゴキブリ、なんだって。
ゴキブリからするとノミの卵は、人から見たいちごサイズ。結構大きいよね。
なのでどうも食べてくれるらしい。 
そしてゴキブリはダニも食べてくれるらしい。
すっごいじゃないか!で、ママは、ゴキブリにもありがとうといっている。

そしてママが一言言ったんだ
「猫ちゃん、ゴキブリをとってくれてありがとう」って。
ん?何だそれ?
そう、増えすぎてはいけないらしい。バランス、バランスといつも言っている。

お家の中に大きな蜘蛛がいる。
その蜘蛛がどうもすごいのになると1日に20匹のゴキブリをとるらしい。
これってホント凄いことである。もちろん一匹のゴキブリも取らない蜘蛛がほとんど。
だけど、大きなその蜘蛛はアシダカグモ、軍曹といって、
数匹いれば数年で家の中のゴキブリはいなくなるという。
全部食べ尽くして、ゴキブリがいなくなれば、家を出ていくらしい。
う〜、やっぱりすごすぎる。かっこいい!

それなのに、その軍曹はとても大きくて目立つから、ついつい、
僕たち猫は遊んで死なせてしまう。
ママは、
「益虫さん、殺しちゃったのね」と少し悲しそうに言うが、
益虫の意味はよくわからないし、誰にとっての益虫か?なんていったらもっとわかんない!

だけど、今は、どうも良いバランスでここのお家は回っているらしい。
ノミが大量発生することはない。
ママは、昔は猫たちに、病院で買ったノミの薬を皮膚につけていたよう。
でもそれを6年ぐらい前にやめたんだって。
理由は僕の知らないおじさん猫だけど、
ノミ取りの薬をつけたら体調を崩してその日死にかけたらしいんだ。
実際には数ヶ月間で数匹死んじゃったりしたらしい。
それからママは薬を使わなくなった。それに、
「だって薬をつけたらあなたたちがおしっこをする時にその薬入りのおしっこで土、
汚しちゃうでしょう?大切な土の菌まで、もしかすると 
殺しちゃうかもしれないでしょ?だから余分な事はしない、
大自然に任せよう、神様に任せよう」って。
「余分なことはしない、大自然、天に任せよう」
は、ママの口癖、何度も何度もよく口にすることばになっている。
そして、僕が大好きなママの口癖の一つである。

僕たちは頻繁にノミ取り櫛を入れてもらって気持ちよく過ごしている。
ママが櫛をもって
「ノミ取るよ〜」って言うと、僕は喜んでコロッとする。
そうするとママがまた言う。
「可愛いね、ぽんた。 
 いい子だね、ぽんた。」
僕はとっても幸せなんである。

生き物がいっぱい、いろんな種類がいて、それが響きあって、
そして、とっても素敵なエネルギーが生まれるんだって。
ママはそれを調和と呼んでいる。
「大調和、大調和。大きな調和。大きなハーモニー。いいね、いいね♥うちにはそのハーモニーがある。みんな、にこにこだよ。余分な殺生」、
どうも殺すことらしいんだけど、
「そういうことはしない、できるだけしない!」って言っている。
でも蚊がブ〜ンと止まってきたら、パチッ!と叩いているし、
僕たちが病気にならないように、とも、ママは、口癖のように言っている。

ママが居て、僕、可愛いぽんたがいて、
おじちゃん猫がいて、おばちゃん猫がいて、
いっぱいいろんな生き物がいて、僕も楽しい。
そしてママは、優しい。あったかい。
みんな大好きだ〜。ありがとう。